Butterfly / 笠井紀美子 w/ Herbie Hancock

リリース：1979年
コメント：'70s後期からポップス色を強めて行った笠井紀美子氏(vo)が、これまたメインストリームものと並行しながらもポップ/ファンク(ディスコ？)色を出していたハービー・ハンコック(key)と共演し、最も成功した作品と言える一作。


バックの布陣が強力である点は言うに及ばず、氏がこれまで歌ったであろうタイプの曲とは異なるH.ハンコック作品に果敢に取り組んだ点でも非常に興味深い位置づけにある、との作品評です。

今の時代ならフリー・ソウル等のコンテキストからでも充分に対応できる内容は流石に素晴らしく、ファンキーにグルーヴィーにポップに、とダンサブル要素を全開にして歌う[1]を始め、隠れ名曲との噂が高い(^^;[2]、何より個人的にはタイトル曲の[7]にやられます。

勿論、ファンキーさだけでなく、H.ハンコックの代表曲＆出世作の１つとしても有名な[4]での笠井氏の滑らかさは、やはり女性ジャズvoならではのものかと。これは捨てがたい(^^;

H.ハンコックが自作曲を自ら演奏し、ヴォーカリストをアシストするという作品形式も、本作が唯一ではないかと言われています。

時代が良かったと言えばそれまでになってしまいますが、多分、二度とこのような時代が来ないであろう事も事実かと。

それだけに、この素晴らしい作品が手軽に入手できる有り難みはひとしおなのでしょう。ほんと、いい作品です。

因みにバックの布陣はポール・ジャクソン(b)、ビル・サマーズ(perc)、ベニー・モウピン(sax、bcl)、アルフォンス・ムザーン(ds)など等。

なお、H.ハンコック自身も自らの作品＜Sunlight＞（'77年）で[1]や[6]を「歌って」います。ハンコック流のファンクサウンドが楽しめる一品かと思いますので、ご興味があれば是非（^^;
収録曲：
1. I THOUGHT IT WAS YOU
2. TELL ME A BEDTIME STORY
3. HEAD IN THE CLOUDS
4. MAIDEN VOYAGE
5. HARVEST TIME
6. SUNLIGHT
7. BUTTERFLY
8. AS